APS-Cカメラでどこまで「空気感」を出せるか考える
こんにちは。
最近、YouTubeで元カメラ開発者の方が「空気感」について考察されてる動画を見ました。
これがすごく面白く感じたので、シロートながら自分が使うAPS-Cのカメラで考えるとどうなるのかについて勉強しながら考えてみました。
- 参考にした動画について
- APS-Cの場合について知りたい
- F値を変えることによるボケ径の変化
- センサー上の大きさから、画像にしたときの大きさを考えてみる
- APS-C × 標準レンズで空気感を出すならF2.8より開く
参考にした動画について
参考にしたのはこちらの動画です。
この動画では以下の順で空気感について述べていました。
- 人の目について → 人の目の特性
- 網膜上の2重像
- フルサイズセンサー上のボケ径
- 中判センサー上のボケ径
- 結論
動画の中では目で見えている映像のボケについて考えた後、フルサイズカメラと中判カメラのセンサー上でのボケの大きさを考え、目で見た映像よりも大きなボケを作ることができるほどより空気感がある写真になる、という話だと理解しました。
「人間の目とフルサイズセンサーの大きさがおおよそ同じくらい」というのが印象的ですね。
センサーが大きいほどボケの径は大きくなりやすいので、中判カメラを使うと人間の目では捉えられないようなボケが生み出されてより空気感のある写真になる、ということのようですね。
APS-Cの場合について知りたい
ボケが大きいほど空気感がある写真になるというのは自分の直感とも一致するところなのですが、いかんせん私が使っているカメラは全てAPS-Cのものばかりです。
動画の中ではフルサイズの写真ですら人間の目には想定内の像になりやすいとされているので、やや絶望的な感じすらあります。
動画の中ではボケの大きさをグラフで示していたので、何らか計算方法があるのではないかと思ってネットで検索してみました。
ボケ径の大きさは計算できるらしい
調べてみると、やっぱりボケの大きさは数式で計算できるようでした。
検索した中ではこちらのサイトが非常にわかりやすく解説してくれていました。
動画の中で出てきたグラフの再現確認
こちらのページの中に出てくる式に動画の条件を当てはめると、無事動画の中に出てくる被写体までの距離とボケの大きさの関係を示すグラフを再現することができました。(符号が逆だったので縦軸反転しています)
このグラフはフルサイズカメラ(青)と中判カメラ(オレンジ)における被写体までの距離が変わるとボケの大きさがどのように変化するかを示しています。
作ってTwitterで呟いた後、すぐに作り直してしまったのでTwitterから画像を引っ張ってきました。もしかしたら画質荒いかもしれません。
APS-Cでのボケの大きさを計算してみる
似たような計算ができているらしいことがわかったので、同じやり方でAPS-Cの場合を考えてみることにしました。APS-Cでは焦点距離を1.5倍で換算するので、35mmを標準画角のレンズとして並べてプロットしています。
こう見るとAPS-Cがボケにくいというより、中判が異質なほどボケるという風に見えてきますね…。
とはいえ、このままだとただただ才能の違いを目の当たりにしただけなので、使うときに設定として変更できるF値で整理してみようと思います。
F値を変えることによるボケ径の変化
同じレンズでもF値を小さくすればボケの大きさは大きくなるため、APS-CのカメラでF値を下げればどこまでフルサイズのカメラに追随できるかを確認することにしました。
使う変数は変わらないので、前出のサイトで紹介された式をそのまま使って変化させる数字を距離からF値に変えただけです。
黄色で水平に引いた線は目で見た場合のボケの大きさを表しています。カメラの方はF値を変化させる前提で書いているのですが、目の場合は対象の光の条件が変わらなければF値固定とみなして一定値としておきました。(というか、変えるとなると計算できるかどうかわからないw)
ちなみに、下に向けて引いた矢印はフルサイズのカメラで目と同じボケ量を得られるときのF値として書いてみました。
センサー上の大きさから、画像にしたときの大きさを考えてみる
センサー上でのボケの大きさはレンズの焦点距離やF値などによって決まってきます。
ところが、実際のところ異なるセンサーサイズでも同じA4用紙に出力することを考えると、用紙上のボケの大きさはセンサーによって変化するように思います。
なんなら、小さなセンサーの方が引き伸ばす比率が大きくなるので、センサー上でのボケの大きさが同じ場合は小さなセンサーの方が画像上のボケの大きさは大きくなりそうな気がします。
- APS-Cだと焦点距離の小さいレンズを使う必要があるのでボケが小さくなる
- APS-C ではセンサーが小さい分大きく引き伸ばすので、センサー上で同じ大きさのボケならAPS-Cの方がプリント上で大きくなる
この2つの競合ということでしょうか。
この辺も考え方がどこかにないか検索してみると、先に紹介したブログの別の記事で説明してくれていました。神か…。
上のサイトを参考にしつつ、さっき作ったグラフをA4用紙に出力したバージョンとして書き直してみました。計算したボケの大きさに対して、"A4用紙÷センサーサイズ"から得られる比を掛けるという操作をしています。
こう見るとセンサー上のボケの大きさだけで見ていたよりはフルサイズに近づいた感がありますね。中判はもう、連邦のモビルスーツかなにかなのでしょう。
下から伸びている矢印は、ひとつ前のグラフで下に向けて矢印を下ろした、フルサイズで目と同じボケ方をするときのF値です。(フルサイズが目と同等という話だったので、ここを基準にしました)
下から来た矢印とフルサイズの曲線の交点(F4くらい)から、同じボケの大きさの時のAPS-CのF値を読み取ると、おおよそF2.8くらいでした。
これを見ると、APS-Cの場合はフルサイズよりもちょうど一段絞ったくらいで似た感じのボケになるような印象でしょうか。
APS-C × 標準レンズで空気感を出すならF2.8より開く
グラフで見た限りでは、「撮った画像を同じサイズで見る場合、APS-Cカメラに標準レンズをつけた状態で目と同等以上のボケを得られるのはF2.8以上」というのが結論と言うことになりました。
冒頭で紹介した動画では、人間の目で見る時に想定できないレベルのボケがあると空気感が得られやすいと言うことでしたので、空気感を得るためにはF2.8よりもさらに大きく開いていく必要があるということかと思います。
そうなってくると、もうF1.4とかF1.0とかの大口径レンズで開放するしかないようにも思えてきます…(^^;
とはいえAPS-Cは「コンパクトさ」と言うメリットを得ているカメラなので、そのカメラで空気感も得ようとするなら大口径のレンズをつけると言う代償を払え、と言うことなんでしょうか。
また外に出たタイミングで、今回計算してみた結果を意識しながら撮った画像を眺めてみたいと思います。
最後に付け足しみたいになりますが、あくまでシロートが勉強しながら計算してみた内容なので間違いがあるかもしれません。
もし間違いを見つけた方がいらしたら、優しく指摘していただければ幸いですm(_ _)m
最後までお読みいただきありがとうございました。